【特別】


You are there ... 例えば、そんな特別







――
a special ... 特別 ――






何が特別か…って?
そういうのって、考えるんじゃなくて、感じるものだと思うんだけど。


「あ、おはよう、越前君」
「チッス」
「珍しく早いわね」
「珍しく、は余計」


見慣れた部室、見慣れた風景。
なのに、君がいるだけで――ほら、それは特別な空間に。


「また寝てる〜!起きないと午後の授業始まっちゃうよ」
「サボるからいい…」
「ダメだって!ほら〜」
「ヤダ。何なら、先輩も一緒にサボっちゃえば」
「あのね…」
「ついでに膝貸して」
「ヤダ」
「ケチ」


何気ない会話、いつもの口調。
なのに、君の口から飛び出せば――ほら、それは特別な言葉に。


ねえ、いつになったら、気付いてくれる?


ただそこに、君がいる――そんな、特別。

それが 特別。








特別、ね…さあ、何だろう。
ま、俺が彼女の特別であるのは間違いないけどね〜。


「菊丸先輩、お疲れ様」
「さんきゅー」
「最後のスマッシュ、すっごくカッコ良かったですよ」
「ホント〜?ちゃんにそう言ってもらえると、元気100倍だにゃ」


見慣れたコート、見慣れた風景。
なのに、君がいるだけで――ほら、それは特別な空間に。


「良かったら、これ食べますか?」
「あ、ぷりぷりエビフライ〜!もらっていいの?」
「ハイ、勿論」
「らっきv 美味い〜」
「エヘヘ。頑張って作ったし…それに」
「それに?」
さんの愛情たっぷりですもん」
「あ、愛情?」


何気ないセリフ、いつもの口調。
なのに、君の口から飛び出せば――ほら、それは特別な言葉に。


ねえ、いつになったら、気付いてくれんのかな?


ただそこに、君がいる――そんな、特別。

それが 特別。








何が特別かって…そんなこと、聞いてどうするんだい?
あえて答えるなら、全部、かな。


「あ、大石先輩、いた!」
「おはよう――って、どうかしたか?」
「また負けた〜。今日こそは先に鍵を開けたかったのに」
「昨日はの方が早かったじゃないか」


見慣れた扉、見慣れた風景。
なのに、君がいるだけで――ほら、それは特別な空間に。


「あの魚はなんていう種類ですか?」
「ネオンテトラ。群れで泳がせると綺麗なんだ」
「水槽の中が不思議な色になりますね…とっても素敵」
「気に入ったかい?」
「ええ、凄く。大石先輩も確かアクアリウム――」
「ああ、あるよ。素人だけどね」
「見に行きたいな…」
「勿論構わな――え、あ…俺の部屋に?」


何気ない呟き、いつもの口調。
なのに、君の口から飛び出せば――ほら、それは特別な言葉に。


いつになったら、気付いてくれるんだろう?


ただそこに、君がいる――そんな、特別。

それが 特別。








特別?んなもん、ねえよ。
ただ、あいつが居れば俺はそれで――って、何言わせんだ、コラ。


「海堂君、宿題やってきた?」
「……聞くな」
「ふっふっふ、今日のお昼ご飯で見せてしんぜよう。いかが?」
「何もんだ、お前は」


見慣れた教室、見慣れた風景。
なのに、お前がいるだけで――ほら、それは特別な空間に。


「みんな誤解してると思うのね」
「何を」
「海堂君。こんなに素敵で優しいのに」
…頭でも打ったのか」
「何よ、失礼ね。褒めてるのに」
「いつも唐突なんだよ、お前は」
「私だけが知ってるの、もったいないじゃない?」
「…お前だけでいいんだよ」


何気ない意見、いつもの口調。
なのに、お前の口から飛び出せば――ほら、それは特別な言葉に。


いつになったら、気付くんだ?


ただそこに、お前がいる――そんな、特別。

それが 特別。








特別か…分かんねえなあ、分かんねえよ。
そういうのって、そん時になって初めて気付くもんだろ?


「あ、桃城君、また早弁したのね!」
「あちゃー、見付かったか。ホラよ」
「……くれるの?」
「賄賂。黙っててくれよ、様」


見慣れた廊下、見慣れた風景。
なのに、お前がいるだけで――ほら、それは特別な空間に。


「桃城君て面倒見がいいのね」
「なんだよ急に」
「知ってる?一年の女子にすっごく人気あるんだよ」
「…え゛、マジっスか」
「マジっスよ。嬉しい?」
「悪い気はしねえけど…あ、もしかして。それ妬いてんのか?」
「別に。あ、妬いて欲しいんだ、桃ちゃんは」
「ばっ…!おまっ、いきなり桃ちゃんとか言うな!」


何気ない呼び方、いつもの口調。
なのに、お前の口から飛び出せば――ほら、それは特別な言葉に。


いつになったら、気付くんだよ…?


ただそこに、お前がいる――そんな、特別。

それが 特別。








特別…って……そうだなあ。
あえて言葉で言うとってことだよね。難しいな。


「河村先輩、お邪魔してます」
「あ、あれ?ちゃん、今日来るって言ってたっけ?」
「えへへ、不意打ち」
「言ってくれたら、早く帰ってきたのに…」


見慣れた店内、見慣れた風景。
なのに、君がいるだけで――ほら、それは特別な空間に。


「河村先輩の板さん姿、素敵だろうなぁ…」
「そ、そうかい?俺は親父とそっくりになる気がするけど」
「早く見たいような…ずっと見たくないような」
「……どうして?」
「だって、そしたらコートにいる河村先輩の姿は、見れなくなっちゃうでしょう?」
「そう、だね」
「考えたくないな――寂しいから」
ちゃん……」


何気ない本音、いつもの口調。
なのに、君の口から飛び出せば――ほら、それは特別な言葉に。


いつになったら、気付いてくれるんだろうか…


ただそこに、君がいる――そんな、特別。

それが 特別。








特別か…ないこともない、けど。
もう、意識しないくらい自然なんだよね。


「あ、不二先輩、いらっしゃいませ」
「やあ。また来ちゃった」
「有り難うございます。今日もいつもの席で?」
「ウン。君の顔が良く見えるからね」


見慣れた物腰、見慣れた風景。
なのに、君がいるだけで――ほら、それは特別な空間に。


「不二先輩がそこに座るとね…」
「――座ると?」
「その近くの席を希望する女性客が増えるんです」
「そう、かな」
「そうですよ〜。私、不二先輩と話してると睨まれるんだから」
「それはそれは……謝った方がいい?」
「いいえ。でも、彼女達には申し訳ないけど…ちょっと役得かも」
「……そう、思って…くれてるんだ」


何気ない言い回し、いつもの口調。
なのに、君の口から飛び出せば――ほら、それは特別な言葉に。


いつになったら、気付いてくれるかな。


ただそこに、君がいる――そんな、特別。

それが 特別。








特別――特別、か。
が特別な確率は…いや、計算するまでもないだろうな。


「今度はなんの計算ですか?」
「クロスショートに対する反応とそれから――」
「私、そのうち乾先輩にマネージャーのポジション、譲ることになりそう…」
「そんな心配は無用だ」


見慣れたベンチ、見慣れた風景。
なのに、お前がいるだけで――ほら、それは特別な空間に。


「乾先輩っていつもどこからノート出すんですか?」
「……知りたい?」
「うーん…謎のままにしておきたいような気もしますけど」
「世の中には知らなくていいってこともあるからな」
「乾先輩にも、知りたくないことってあるんですか?」
「もちろん。どうしても知りたいけど、今はまだいいかな、と思うこともある」
「へえ…それってなんなのか、すっごく興味あります」
「今は聞かないけどね」


何気ない疑問、いつもの口調。
なのに、お前の口から飛び出せば――ほら、それは特別な言葉に。


いつになったら、気付いてくれるものか…。


ただそこに、君がいる――そんな、特別。

それが 特別。








特別?
――そうでなくても構わない。俺は、ただ…。


「部長!今帰りですか?」
「ああ…偶然だな」
「そですね、部活以外であんまり一緒にならないですもんね」
「……運が良かったな」


見慣れた帰路、見慣れた風景。
なのに、お前がいるだけで――ほら、それは特別な空間に。


「秋になったら…部長は部長じゃなくなっちゃうんですよね…」
「そうだな」
「そしたら、なんて呼べばいいんでしょう」
「……悩むようなことなのか?」
「だって、ずーっと部長って呼んできたから。これからもずっとそう呼べると思ってたから」
「ずっと変わらないものはないんだぞ」
「分かってます。でも…やだな、その時が来るのって」
…」


何気ないため息、いつもの口調。
なのに、お前の口から飛び出せば――ほら、それは特別な言葉に。


いつになったら、気付くんだ。


ただそこに、お前がいる――そんな、特別。

それが 特別。








ね 教えてあげようか?


「今日は邪魔されたくないんだよね、俺」 何気ない言葉とか

「きっと気に入ると思ったんだ〜」 嬉しそうな笑顔とか

「でも、女の子なんだから…」 気遣う手つきとか

「俺のは、あんまり甘くするな」 照れ隠しな口調とか

「行くぞ〜。しっかりつかまってろよ!」 頼りがいのある背中とか

「いいんだ。俺が来たいだけだから」 控えめなセリフとか

「だったら…このまま二人で、どこかへ行っちゃおうか」 甘い視線とか

「どうせなら、別の場所にして欲しかった気もしないでもないが…」 予想外の反応とか

「それまで、ここに居る」 さり気ない優しさとか


そんな、特別。




そ れ が 特 別








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So Thanks!

2004.3. / dream in Angel Master

This commemoration novel was written by saya.kagei .

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大好きサイト『Angel Master』様の80万&90万打記念作品をDLさせて頂きました。
影井様の作品はいつ読んでもホント素敵です〜〜〜!大好きです〜〜〜!(告白(お
yury様の書かれた記念イラストもUPしてますので是非合わせてご覧下さいませ!
本当に素敵な作品をありがとうございました!!